現場にて、些細な日常。

2017.12.07

建設中の現場に勤務しているとたまに不思議な光景を見かけることがあります。
私の常駐している現場は竣工間際で現場事務所が工事中の建物内。
先日、何気なく仕上工事中の事務所のうす暗い廊下を歩いていると、
ヘラを持ちビニルクロスを携えた職人さんが作業をしていた。
ただ、そのビニルクロスを壁に貼る様子は不思議で、壁に顔を近づけ、しきりに懐中電灯で表面を照らしている。
トイレに行くたびその職人さんは真剣な表情でその壁を照らしているのだ。
いったい何をしているのか?と近くを通りながら職人さんを見ていると、目線が合ってしまい結局わからず仕舞…。
表面に傷でもつけてしまったのか?
そんなしょうもない理由しか思い浮かばず、席に戻って話をしていると他の人も気になっていた様子。
だが、どれも想像で本当の理由はその人に聞いてみないとわからない。
耐え切れず『なぜ照らしているんですか』と聞いた人が戻るとその理由は、
ビニルクロスの表面の柄を隣に貼られた柄と合うようにその細かな目地を照らし凹凸を確かめていたそうだ。
なるほどー!思わず唸ってしまった。
確かによく見てみるとその細かな柄は貼り分けていても通っているように見える。
あまりに細かいので柄が通っていなくても気にはならないのではないか?と思ってしまうが、
きれいに仕上がって見える理由は、このわかる人にしかわからない繊細な職人技の賜物だったのだと確信した。
私はまだ5年目で建築の奥深さに浸かりはじめたばかりだが、現場での体験を大切にし、
これからも建築の仕事に携わっていきたいと思った。N.Y